まいどはや

1 | 2 | 3 | 4


まいどはや



まいどはやさて今月は、「物が売れない時代への挑戦」について。このタイトルは、最近、「プロフェッショナル仕事の流儀」というテレビ番組(NHK)で使われたものです。今回、この番組で紹介された人物は、「広報・PRのエキスパート 伊藤美恵さん」です。番組を見て、私は「良い商品やサービスは、上辺だけの広告ではなく、もっともっと深く掘り下げて商品の魅力を考え抜き、狙いを定め、しっかりとした広告を行えば必ず売れる。」と、あたらためて感じさせられました。そして、私は、物が売れないこの時代だからこそ是非、このニュースレターで紹介したいと思いました。

ところで、ファッションの本場フランスでは、広報のプロは「アタッシェ・ドゥ・プレス」と呼ばれ、専門職としての地位が確立されているそうです。伊藤さんは、日本において、数多くのブランドの広報を手がけ、「アタッシェ・ドゥ・プレス」の意義を広く日本に知らしめたとして、フランス政府から芸術文化勲章が授与されている人なのです。
伊藤さんは、プロ中のプロ、正に「プロフェッショナル」と言える人です。ということで、今回は、この番組を例に取り上げながら、物が売れない時代に広告を行う上での重要なポイントについて書いてみたいと思います。是非、最後までお読みください。

▼ 物が売れない時代への挑戦 ▼

小手先だけの広告では売れなくなったこの厳しい時代、かつてのようにバンバン物が売れるようにするためには、いったいどのような考え方や手法で広告を行ったらいいのでしょうか?それを考えた時、先ず挙げられることは、「その商品の持つ魅力を広告担当者がしっかりと掴む」ということです。もちろん多くの人たちは、それが分かった上で企画を練りながら広告を作っています。でも、物が売れないこの時代は、もうひと頑張りが必要です。その商品を別の角度から見つめなおし、意外な魅力を引き出すのです。それによって、会社や商品の強みが新たに生み出され、結果的に売るために大変重要な他社との差別化といった部分が炙り出されてきます。

さて、冒頭で紹介したテレビ番組では、5年前に伊藤さんが手がけた大手通販会社(ニッセン)の例が紹介されていました。この通販会社では、これまで価格の安さを何より前面に打ち出していました。これは、よくあるパターンです。今回、通販会社から、広告・PRのプロとして依頼を受けた伊藤さんは、価格だけでなく、バリエーション豊かな品揃えが強みだと考え、そこを打ち出すべきだと主張。「インターネットで様々なテイストの服を見せ、多彩なコーディネイトを気軽に楽しめる服だというイメージを打ち出す」ということを提案したのです。その結果、これまで掲載されなかったようなファストファション雑誌にもこの会社の魅力が取り上げられるようになり、メディアへの露出が増えたそうです。番組では、通販会社のPR担当者のコメントが映し出されていました。
「それまで、そのような意識は殆どなかったんですけど、(伊藤さんの話を聞いて)すごく自信を持つようになりました。」さて、このコメントから分かるように、大きな会社のPR担当者でさえも、別の角度から自分の会社や商品の魅力を掘り下げて見つめなおし、新たな魅力を引き出すことは、なかなか難しいことなのです。

伊藤さんのコメントです。

「エッ、そんなことが魅力なんですか?と思うようなことも、消費者からすれば、大きな魅力であり、PRのネタでもあるのです。」

価格の安さは当然のことながら会社にとっての強みであり、消費者にとってもこの時代、魅力的な部分です。でも、この部分はどの会社でも打ち出しているパターンであり、既に「安さだけでは売れない時代」です。売る側は、どうしても「消費者は価格が一番だと思っている」と考えがちです。でも、消費者は、豊富な品揃えの中から、時間を掛け、悩みながら選んだ商品に満足し、それが納得できる買い物だと感じれば、たとえ価格の安さが一番だと考えていた人でも、いつの間にか価格は二の次となってしまうことも少なくないのです。

あなたも、そんな経験をしたことがある筈です。というより、少なくない筈です。物が売れないこの時代、価格以外の部分でも消費者の心を惹き付けつける魅力的な何かを見いだすことが重要ですね。特に歴史を積み重ねた会社には、今まで気付かなかった何か別の強みがもっと奥深くに潜んでいるものです。その意味で伊藤さんは、仕事に臨むとき、次の言葉を大切にしているそうです。

「眠れる宝を、掘り起こす」

あなたも広告のデザインや企画などを行なう場合には、是非、この「眠れる宝を、掘り起こす」を思い出して欲しいと思います。


1 | 2 | 3 | 4



このページの上段へ戻ります